フルートの楽曲には、シングルのタンギングでは到底追いつけないような高速の連符が頻繁に登場します。これらを軽やかに、かつ一音一音を明瞭に発音するために必須となるのがダブル・トリプルタンギングです。基本となるのは「T(トゥ)」と「K(ク)」の交互の動きです。多くの奏者が、後ろ側の「K」の発音が弱くなったり、音がこもったりしてしまい、連符が「転んで」しまう現象に悩まされます。この「K」のクオリティをいかに「T」に近づけるかが、ダブルタンギング完成の唯一のポイントだと語ります。舌の前後運動を最小限にし、息の支えを緩めないことで、均質なパッセージを生み出す土台を作ります。
- ダブルタンギングは「T-K-T-K」という二つの異なる舌の動きをセットにした技術です。
- トリプルタンギングは3連符に対応し、「T-T-K」や「T-K-T」といったパターンを使い分けます。
- 最大の課題は「K」の発音を明瞭にすることです。舌の奥側を動かす筋肉を、意識的にトレーニングする必要があります。
- スピードよりもまずは発音の等質性を重視し、ゆっくりのテンポから正確に刻む練習を積み重ねましょう。
高速域でも失われない『音の粒立ち』
ダブルタンギングの練習では、ついスピードばかりを追求してしまいがちですが、音がボヤけてしまっては意味がありません。理想は、聴き手がダブルタンギングを使っていることに気づかないほど、シングルと同じ音色と粒立ちで聴こえることです。そのためには、舌の動きを極限までコンパクトにし、マウスピースの歌口に当たるポイントを常に一定に保つ必要があります。フルートは高音域になればなるほど、発音の「キレ」が音楽の躍動感を左右します。シラブルを「TU-KU(テュク)」や「TI-KI(ティキ)」に変えることで、音域に最適な発音のツボを見つけ出しましょう。身体の無駄な力を抜き、舌が羽のように軽く動く感覚を掴むことが目標です。
練習のステップ
- ① 中音域の一つの音で、「トゥークゥー」とゆっくり発音し、「K」の発音が弱くなっていないか耳で確認します。
- ② シングルの「K」だけを使ってスケールやリズム練習を行い、舌の奥側の動きをスムーズにします。
- ③ メトロノームを使い、16分音符のダブルタンギングを、音色を損なわない限界のテンポで繰り返します。
- ④ 音域を上下に広げ、跳躍が含まれるパッセージでも「T」と「K」のバランスが崩れないかチェックします。
まとめ
フルートのダブル・トリプルタンギングは、テクニックの限界を突破し、表現の自由を広げるための強力なツールです。 「K」という新しい発音を自分のものにし、「T」と完璧に融合させる。この高度な舌の操作をマスターすることで、どんなに速い楽譜も自信を持って、軽やかに歌い上げることができるようになります。焦らず、一歩ずつ正確性を高める練習を積み重ね、プロフェッショナルなタンギング技術を完成させていきましょう。鮮やかな連符が、あなたの演奏に華やかな彩りを添えてくれるはずであり、奏者としての無限の自信へと繋がることでしょう。一歩ずつ正確性を高める練習を積み重ね、プロフェッショナルなタンギング技術を自分のものにしてください。