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clarinet 初級

クラリネット学習者のバイブル:ローズ「32のエチュード」の歴史と正しい楽譜選び

クラリネットを学ぶ上で避けては通れない「ローズ:32のエチュード」。かつては東京藝大の入試課題曲としても採用され、現在もその附属高校の課題曲となるなど、クラリネット奏者にとって極めて重要な教材です。この記事では、オーボエのフェルリンクを元にしたその歴史的背景や、フランスのルリュック版に潜む多くの誤植という落とし穴、そして正確で安価な全音版のメリットについて詳しく解説します。正しい楽譜選びと背景知識を身につけ、効率的な練習を目指しましょう。

講師
照沼 夢輝
更新日
2026.03.18

※本記事は動画の内容に基づきAIによって自動作成されています。一部誤りを含む可能性があるため、正確な情報は必ず動画レッスンをご参照ください。

動画情報
  • タイトル:クラリネット学習者のバイブル:ローズ「32のエチュード」の歴史と正しい楽譜選び
  • 楽器名:clarinet
  • レベル:初級
SUMMARY
この記事のポイント
  • ローズの「32のエチュード」は、クラリネット中級者から上級者へのステップアップに欠かせない、歴史ある重要な教則本です。
  • このエチュードは、オーボエ奏者フェルリンクの「48のエチュード」を元に、パリ・オペラ座の主席奏者シリル・ローズがクラリネット用に編纂したものです。
  • 一般的に広く普及しているフランスのルリュック版には、音の間違いや誤植が非常に多く、学習者が混乱する原因となっています。
  • 正確な音で練習するためには、誤植が少なく視認性も高い「全音版」の楽譜が推奨されており、価格面でも非常に優れています。
  • 入試などで版の指定がある場合を除き、基本的には正確な全音版で正しい音を学び、音楽的な表現を追求することが上達への近道です。

クラリネット奏者の登竜門「ローズ・エチュード」への招待

クラリネットを本格的に学び始めると、必ずと言っていいほど耳にするのが「ローズ:32のエチュード」です。このエチュードは、単なる練習曲の枠を超え、クラリネット奏者としての基礎力と表現力を試される重要な教材として位置づけられています。かつては東京藝大の入試課題曲としても長年採用されており、現在でもその附属高校、いわゆる「芸高」の課題曲として指定されるなど、日本のクラリネット教育において非常に高い信頼を得ています。中級者から上級者へとステップアップする段階で取り組むべき内容が凝縮されており、指のテクニックだけでなく、歌うような旋律の吹き方や、繊細なアーティキュレーションを学ぶのに最適な一冊と言えるでしょう。この記事では、この「ローズ」という教材がなぜこれほどまでに重要視されているのか、その背景から紐解いていきます。

ローズ・エチュードの歴史と背景

このエチュードの編纂者であるシリル・ローズは、1800年代後半にパリ・オペラ座の主席奏者を務めていた伝説的なクラリネット奏者です。パリ・オペラ座といえば、あの「オペラ座の怪人」の舞台としても有名なガルニエ宮を拠点とする世界最高峰の歌劇場であり、ローズはそこでまさにオペラの中心で演奏していました。彼はパリ音楽院の教授としても後進の育成に尽力し、現代のクラリネット奏法の基礎を築いた人物の一人です。しかし、この「32のエチュード」には、さらに元となった作品が存在します。それはオーボエ奏者のフェルリンクが書いた「48のエチュード」です。ローズはこのフェルリンクの作品を元に、クラリネット特有の技術的な難所を克服できるよう、曲を再構成したり拍子を変更したりして、独自の32曲にまとめ上げました。例えば、フェルリンクのオリジナルでは4分の2拍子だった曲が、ローズ版では4分の4拍子に変更されているなど、クラリネットの特性に合わせた大胆な編曲が施されています。

楽譜選びと学習のポイント

クラリネットのローズ・エチュードを練習する際、最も重要かつ注意が必要なのが「どの出版社の楽譜を使うか」という点です。世界的に最も普及しており、入試などの指定楽譜としてよく名前が挙がるのは、フランスのルリュック版(シュパティー社)です。しかし、このルリュック版には大きな問題があります。それは、驚くほど多くのミス(誤植)が含まれているという点です。音の間違いや強弱記号の欠落、表情記号の誤りなどが散見され、中には和声的に明らかに不自然な箇所も存在します。さらに、輸入譜であるため価格も非常に高価です。一方で、日本国内で入手しやすい全音版は、これらのミスが丁寧に修正されており、譜面も非常に美しく印刷されています。学習者にとって、正しい音で練習することは上達の絶対条件です。特に独学で練習している場合や、まだ耳が十分に肥えていない段階では、楽譜のミスに気づかずに間違った音を覚えてしまうリスクがあります。そのため、信頼できる版を選ぶことが、効率的な学習の第一歩となります。

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原因と対策

なぜ、これほどまでに有名なルリュック版にミスが放置されているのか、その原因は定かではありませんが、フランスの出版文化特有の大らかさが影響しているのかもしれません。クラリネットの他の有名曲、例えばドビュッシーの「第一狂詩曲」やサン=サーンスの「クラリネット・ソナタ」なども、初版から長らく間違いだらけの楽譜が流通していました。サン=サーンスのソナタに至っては、近年新しく打ち直しが行われたにもかかわらず、ピアノのコードがメジャーであるべきところでマイナーになっているなど、新たな間違いが追加されるという信じられない事態も起きています。このような状況への対策として、最も賢明な選択は「全音版」を使用することです。全音版はルリュック版の半額以下の価格で購入でき、何より内容が正確です。もし入試などでルリュック版が指定されている場合でも、練習段階では全音版で正しい音を確認し、必要に応じてルリュック版の譜面に修正を書き込むという方法が推奨されます。正確な情報を元に練習することで、無駄な混乱を避け、音楽の本質的な追求に集中できるようになります。

⚠️
注意点
楽譜の版による違いには細心の注意を払いましょう。特にフランス系の古い楽譜(ルリュック版など)を使用する場合は、音の間違いや記号の欠落が当然のように存在することを前提に、全音版などの校訂がしっかり行われた楽譜と比較しながら練習することをお勧めします。価格が高いからといって必ずしも正確であるとは限らないのが、クラリネットの楽譜の世界の難しいところです。また、審査員によっては特定の版を強く推奨する場合もありますが、音楽的に正しい音で演奏されているかどうかが最も重要であることを忘れないでください。

クラリネット学習者にとって、ローズの「32のエチュード」は一生付き合っていくことになる大切なパートナーです。その歴史的背景を知り、パリ・オペラ座の華やかな香りを想像しながら吹くことで、ただの指の練習ではない、血の通った音楽としての表現が見えてくるはずです。楽譜のミスという技術的な障害に惑わされることなく、全音版のような正確なテキストを活用して、一曲一曲を丁寧に仕上げていきましょう。かつてローズがパリ音楽院で学生たちに伝えたであろう音楽の神髄を、このエチュードを通じて感じ取ってください。正しい楽譜選びと作品理解こそが、あなたのクラリネット演奏をより高みへと導く鍵となります。これからローズに挑戦する皆さんも、すでに練習を始めている皆さんも、改めて楽譜を見直し、新鮮な気持ちでこの素晴らしいエチュードと向き合ってみてください。

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