ホルンの発音で多くの奏者が悩むのが、音が「ガサガサ」したり、立ち上がりが遅れたりする現象です。これを直そうとして舌の動きばかりを気にすると、ますます喉が締まって悪循環に陥ります。濵地氏が推奨するのは、あえて通常の「T」ではなく「K」の発音を使って喉の状態を矯正するトレーニングです。「ク、ク、ク」と発音する際、喉の奥が動くのを感じるはずです。この練習の目的は、舌の奥側を動かすことで喉の周辺筋肉を刺激し、喉を広く保ったまま発音する感覚を養うことにあります。喉の自由度が高まれば、音色は驚くほどクリアになります。
- 通常のタンギング(T)で音が詰まる人は、喉が締まっている可能性が高いです。これを自覚し、改善することが第一歩です。
- 「K(ク)」の発音練習を行うことで、喉の奥のスペースを意識的に確保するトレーニングを行います。喉の開放感を得るための特効薬です。
- 練習の際は裏声のイメージを持つことが極めて有効です。裏声を出している時の喉の形は、ホルンにとって最もリラックスした理想的な状態です。
- この「K」の練習で喉がほぐれたら、その開放感を維持したまま通常の「T」のタンギングに戻すと、驚くほど音がスムーズに出るようになります。
喉が楽器の一部になる感覚を持つ
ホルンという楽器はマウスピースから先だけではありません。奏者の喉や口内、肺までもが「楽器の一部」として共鳴します。喉が締まっているということは、楽器の途中に障害物があるのと同じです。「K」の発音で喉を広げる感覚が掴めてきたら、今度はその喉の状態をキープしたまま、息を遠くに飛ばすイメージで吹いてみましょう。このとき、身体の力は抜きつつ、裏声で歌っているときのようなリラックス感を保つのがポイントです。喉が柔らかく開いていれば、ホルンの倍音が豊かに響き渡り、多少のミスも楽器がカバーしてくれるようになります。共鳴する身体を作り上げましょう。
練習のステップ
- ① 楽器を持たずに、裏声で「ホー」と声を出し、その時の喉の開放感を指で喉仏のあたりを触って確認します。
- ② その喉の形のまま、「ク、ク、ク(K)」と無声音で息を吐き、喉の奥が動く感覚を掴みます。
- ③ マウスピースで、Kタンギングのみを使って音を出してみます。音質よりも「喉の楽さ」を優先してください。
- ④ 最後に通常のTタンギングに戻し、Kの時と同じ喉の広さを維持したまま正確なアタックを行います。
まとめ
ホルンの安定した発音は、開放された喉から生まれます。舌の動きに行き詰まったら、あえて「K」の発音や裏声のイメージを取り入れ、喉の周辺をリセットしてみてください。喉が楽器の一部として正しく共鳴し始めれば、タンギングの悩みは自然と解消され、ホルンらしい深く、かつクリアな音色が手に入ります。身体の仕組みを味方につけ、より自由な表現を目指しましょう。喉の開放をマスターすることで、長時間の演奏でも疲れにくい身体の使い方が身につき、どんなに困難なパッセージでも常にリラックスした状態で臨むことができるようになります。