- トライアングルの響きを損なわないよう、吊るし紐は「手ぐす」等の細いものを推奨する
- ビーターは親指・人差し指・中指の3本で軽くつまみ、固定しすぎないことが重要である
- 叩く位置や高さのバリエーションにより、音量や音の到達距離をコントロールする
パーカッションにおいて、トライアングルは誰でも鳴らすことができる身近な楽器と思われがちです。しかし、実際にはこれほど奏者のセンスや技術が如実に現れる楽器は他にありません。「ただチーンと鳴らすだけ」という意識で向き合うと、音楽的な余韻が欠け、無機質な打撃音になってしまいます。理想的な響きを引き出すための第一歩は、楽器の「自由」を尊重することです。例えば、楽器を吊るす紐が太すぎると、金属の微細な振動を殺してしまいます。可能な限り細い紐(手ぐす等)を使い、さらに万が一の切断に備えて2本で吊るすのがプロのスタンダードです。また、保持する側の手もガチガチに固めず、打撃のエネルギーを楽器が受け流せるような余裕を持たせることが大切です。パーカッション本来の澄んだ高音を追求するために、まずはセットアップから徹底的にこだわりましょう。
パーカッション・トライアングルの音色を左右するビーター操作
トライアングルの音色を決定づけるもう一つの大きな要因は、ビーター(打棒)の持ち方と当て方です。ビーターを握り込んでしまうと、打撃の瞬間に金属同士がぶつかる「カチッ」という雑音が強調され、美しい倍音が失われます。基本は、人差し指、中指、親指の3本で軽くつまむように持ち、ビーター自体の重みを利用して楽器に「触れさせる」感覚で演奏します。この「触れる」という表現は非常に重要で、楽器を叩きに行くのではなく、お互いが歩み寄るようなリラックスした動作が求められます。また、叩く位置についても、端から2〜3センチの場所を狙うのが標準的ですが、楽器の個体差によって「最も響くポイント(ツボ)」は異なります。自分の耳で音をよく聴き、最も明るく豊かな響きが得られる場所を常に探求してください。パーカッション奏者にとって、耳を研ぎ澄ませることは技術を磨くことと同義です。
また、トライアングルでも「ロール」によって音を持続させることができます。通常は三角形の頂点に近い部分の内側で、ビーターを上下に素早く往復させます。この際、スネアドラムで練習する「パラディドル(RLRR LRLL)」の手順を応用すると、左右(上下)のバランスが整い、ムラのない滑らかなロールが可能になります。下側には当たりやすいですが、上側の枠にしっかり当てるのが難しいことが多いため、意識的に上の軌道を修正する練習が必要です。さらに、ポップスなどの楽曲では、人差し指に吊るした状態で他の指を楽器に触れさせたり離したりすることで、音を止めたり響かせたりしてリズムを刻む手法も使われます。こうした特殊な奏法を含め、トライアングルには無限の可能性があります。楽器の持ち位置一つとっても、高く掲げれば遠くまで響き、低く構えれば繊細なニュアンスを出しやすくなります。固定概念を捨て、自由な発想で音を創り上げてください。
パーカッション演奏の極意は、いかなる奏法においても「楽器本来の鳴り」を阻害しないことに集約されます。それはトライアングルであっても、あるいはスネアドラムのリムショットのような鋭い打撃であっても同様です。強いアタックを必要とする場面でも、身体を固めて力任せに打ち込むのではなく、インパクトの瞬間にエネルギーを集中させ、その後は即座に解放する「ショット」の感覚が理想的です。トライアングルにおいてこの感覚を応用するなら、ビーターが楽器に触れる時間を極限まで短くし、反発を活かした透明感のある強い音を目指すべきです。リムショットという言葉が持つ「鋭さ」と「芯の強さ」を、トライアングルの発音にも取り入れることで、合奏の中でも埋もれない、輝かしい音色を手に入れることができます。常に響きの美しさを最優先し、楽器が持つポテンシャルを最大限に引き出すためのフォームとマインドセットを構築していきましょう。
- 響きを妨げない細い紐を選び、安全のために2本の輪で吊るす
- 三角形の切れ目が自分の手元に来るように正しく構える
- ビーターを3本の指で軽くつまみ、手首の力を完全に抜く
- 楽器の端から2〜3センチの「ツボ」を狙って、触れるように発音する
- ロールの際はパラディドルの手順を使い、上下のバランスを均一にする