- サクソフォン奏者としての原点は中学時代の吹奏楽部にあり、全国金賞を目指す過酷な環境下での基礎作りが、後のプロ活動を支える強固な土台となった。
- 技術練習と並行して、先生から紹介された約500枚の音源を徹底的に聴き比べることで、自分の「好きな音」や「目指すべき表現」を確立する感性が養われた。
- 現在は古典作品の研究から新作の創作まで幅広く活動し、自身の経験を次世代の女性奏者への支援やエールに変えていくことを、音楽家としての重要なミッションとしている。
サクソフォンという楽器に出会い、その魅力に取り憑かれたきっかけは、人それぞれ異なります。ある人は中学の吹奏楽部で見た先輩の姿に憧れ、ある人はテレビから流れる華やかな音色に心を奪われます。しかし、単なる「憧れ」を「職業」や「一生の趣味」として定着させるためには、その情熱を支える具体的な行動と、挫折を乗り越えるための強い意志が必要です。プロとして活躍する奏者の背景には、華やかなコンクール優勝の裏側で、何百枚ものCDを聴き込み、自分の音を客観的に見つめ続けてきた地道な時間があります。音楽は、技術だけで成立するものではありません。自分がどのような音を愛し、どのような物語を楽器で語りたいのか。その内面的な豊かさを育むプロセスこそが、サクソフォンを本当の意味で「自分の声」にしてくれます。
感性を磨く「耳」のトレーニング:500枚の音源研究
上達の近道は、意外にも楽器を置いて「聴くこと」に隠されている場合があります。学生時代に約500枚ものCDを聴き比べ、様々な奏者のニュアンスや楽器の個性を吸収した経験は、何物にも代えがたい財産となります。優れた音源に触れることは、自分の頭の中に「理想のサウンドライブラリ」を構築することと同義です。音がひっくり返ることを恐れずに挑戦できた自由な高校時代、そして東京芸術大学での厳しい研鑽。それらすべての経験が、今の豊かな表現力に繋がっています。サクソフォンという楽器の可能性を最大限に引き出すために、まずは耳を養い、音楽の海に深く潜ることから始めましょう。自分の好みが明確になれば、練習の目的も自ずと定まってきます。
まとめ
サクソフォンの成長は、特別な才能よりも良い環境と良い習慣の積み重ねで形になります。吹奏楽で鍛えた基礎、膨大な音源の聴き比べで育てた耳、ソロの舞台で得た課題意識は、すべてつながってあなたの表現を支える土台になります。迷ったときは「聴く」「学ぶ」「試す」の順に立ち返り、今日の一歩を具体化してみてください。自分の音と丁寧に向き合う時間を重ねるほど、サクソフォンはあなたらしい声として、より確かな説得力を持って響くようになります。